好事例集から見る② 経営の良い就労継続支援A型と悪い就労継続支援A型

2020年3月4日

好事例集から見る② 経営の良い就労継続支援A型と悪い就労継続支援A型

 

からの続きとなります

 
厚生労働省が公開している好事例集より抜粋、意訳しております。

損益分岐点の把握と事業計画の達成度合い


 
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一般企業でもそうですが、事業を運営する上において損益分岐点の把握は非常に重要視されます。

 

また、事業計画の達成度合い(予算進捗)というのは、会社の経営指標としても見られます。

 

特に、就労継続支援A型の事業計画となると、7割の就労継続支援A型事業所は改善計画提出が必須となるため、売上向上もしくは支出削減計画となり、それらの達成=収益の向上につながります。

 

下の2つの表を見て頂きたいです。厚生労働省より発表されている内容で、2つのグループに分けた際の差異の比較です。

 

+グループ : 生産活動収支≧賃金となっている事業所群

 

ーグループ : 生産活動収支<賃金となっている事業所群

 

※生産活動収支とは生産活動による売上ー生産活動による経費の値です。

例:原材料費30円のパンを、水道光熱費5円で作成し、100円で売った場合

100円―(30円⁺5円)=65円の生産活動収支となります。

 

 

損益分岐点を把握している事業所の割合

 

損益

 

 

 

 

正確な事業計画を策定しており、その計画通り実施すれば目標達成できる。

目標額

2番目のグラフの意味がちょっとわかりづらいですよね。

 

2番目のグラフは、予算進捗度という概念で考えたらわかりやすいです。

 

まず、+、-問わず損益分岐点の把握をしている事業所が多いことがわかります。

 

100円のパンなら1日何個売れば赤字にならないか。なので、これらを把握することは非常に重要な位置づけとなります。

 

10%もの事業所が損益分岐点を把握していないことに障害福祉分野の危うさを感じます。

 

目標額達成について、+グループの50%以上が達するのに対し、-グループは20%弱しか達成していません。

 

生産活動で十分な利益を得ているかどうかのグループ分けなので、ここで差異が明確に出ることは当然の結果ともいえます。

 

気になる点として、-グループのうち20%弱が、目標額に達成しているにも関わらず-グループに所属しているということです。

 

予算計画(当然経営改善計画)の通りに達成したにも関わらず最低賃金さえ払うことができていない状態ということは、旧態では、どれだけ生産活動収支が低かったのか…と思われます。

 

ただ、改善計画を達成できているということは旧態の収支は別として、会社として良い方向に向かっているため、素晴らしいことではあります!

 

要因分析


+、-

プラス数値(0.0~4.0)は+グループが取り組めている内容

マイナス数値(0.0~-5.0)はーグループが取り組めていない内容

 

つまり、どちらも正の要素であり、合計値を参考として考えられます。

 

その場合、


5)生産性向上   4.7


9)事業計画の立案 4.0


11)工程改善     3.9

 

がTOP3(経営改善に多大な影響を与えている)となり

 

1)価格向上            0.1

 

13)利用者のモチベーション向上    0.7

 

2)商品開発            0.8

 

がワースト3(経営改善に与える影響は微小)となります。


生産性向上や、目標設定、計画立案、工程改善等が重要視され
価格の転化や利用者のモチベーション向上、商品開発や新規出店、支援員のモチベーション向上等はあまり効果を感じられないという結果となりました。

 

良い見方をすれば、業務形態は変えずに、システム的な改善に伴って大きく業績が変動する、まだまだ開拓の余地がある分野の仕事が多く、人材育成への投資も短期的な結果は出ないものの、長期的には結果が出そうな見込みを感じます。

 

悪く言えば、就労継続支援A型は仕事として甘い事業所が非常に多かったんだな。と思います。

 

一般企業では投資を必要としない部分については、随時最適化を図っていることが多く、人材育成や優秀な人材の確保、設備投資による効率化が注視されやすいものですが、A型事業所は事業規模も小さいところも多く、福祉が主であることも相まってか、仕事に対する意識が非常に甘く、最適化を行ったり、目指す目標を設定することで業績改善されるのだろうな…と感じてしまいます。

 

 

就労継続支援A型事業所の経営的な考え方は…

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一般の営利企業と同じように、予算計画を綿密に立て、仕事の工程を見直すことで効率化を図り原価低減し、利用者の能力向上を目指す。まずはそのあたりから始めると短期的に効果が出やすい
 
※ただし、あくまで経営改善の観点であり、支援の観点はまた別です